はじめに
“妊活”を始めたあなたに贈る、小さな気づき
妊活を意識しはじめると、葉酸、鉄、ビタミン…と気になる栄養が次々出てきますよね。
だけど、忘れてはいけないものがあります。それが たんぱく質。卵子・精子の材料になるだけでなく、ホルモンを作ったり、体を整えたりする基本構成要素でもあります。
ある研究では、妊娠初期にたんぱく質の摂取量が極端に少ない母親から生まれた子どもにおいて、3歳時点で発達の遅れが見られた傾向があることも報告されています。
つまり、「たんぱく質って地味だけど、じつは未来につながる」ってこと、知っておきたいですよね。
この記事では、妊活中にたんぱく質を“味方につける”ための 3つのポイント を、わかりやすく、実践しやすくお伝えします。
ポイント①|“量”を知る:妊活期のたんぱく質の目安と過不足リスク
まずは「どれくらいを目指せばいいか」を把握しましょう。
たんぱく質の基準と妊活期での調整
- 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人女性のたんぱく質の推奨量は 1日あたり約50 g とされています。(〖公式〗エレビット|葉酸マルチビタミンサプリ|Elevit バイエル薬品)
- 妊娠期ではさらに+5〜25 gの付加量が示されており(妊娠中期で+5 g、後期で+25 gなど) (〖公式〗エレビット|葉酸マルチビタミンサプリ|Elevit バイエル薬品)
- 妊活期においては、「体重 × 1.2〜1.5g/日」といった目安を使う考え方もあります(例:50kgなら60〜75g/日)
ただし、これらはあくまでガイド。あなたの体格、活動量、健康状態などによって変わるので、「まず自分にとって妥当な範囲を知る」ことが大切です。
過不足、それぞれのリスク
- 不足時の可能性
ホルモン・酵素合成の低下、排卵・黄体機能の支障、子宮環境の質の低下などにつながる可能性があります。
また、妊娠初期にたんぱく質が極端に低いと、子どもの発達面で後れが出る傾向が指摘された研究もあります。 - 過剰時の懸念
特に動物性脂肪と一緒に大量に摂るスタイルだと、腎臓負荷、代謝的ストレス、肥満傾向、妊娠糖尿病リスクの上昇、といった点も無視できません。
さらに、バランスを崩して他の栄養素が不足するリスクもあります。
だからこそ「ちょうどいい量」を目指すことが第1歩です。
ポイント②|“質と種類”を選ぶ:動物性/植物性とバランス

量を意識した上で重要になるのが、「どのたんぱく質を使うか」。性質の違いを理解し、「自分らしい組み合わせ」を見つけましょう。
動物性たんぱく質の強みと注意点
強み
- 吸収性が高く、アミノ酸のバランスが優れているものが多い
- 強力な“使いやすい原料”として、身体が即時利用しやすい
注意点
- 脂質(特に飽和脂肪酸)やコレステロールを過剰に含む部位を選ぶとリスク増
- 魚では水銀汚染の問題も意識すべき(特に妊娠中期以降)
植物性たんぱく質の役割とポイント
長所
- 食物繊維、抗酸化成分、ミネラルが同時に得られることが多い
- 脂質が抑えられやすく、体への負荷が少ない選択肢
注意点
- 単一の植物性だけだと、必須アミノ酸のバランスがやや偏りがち
- 吸収率や消化性の違いを意識して多様なソースを組み合わせることが望ましい
ソイ(大豆)プロテインの魅力

ソイ(大豆)由来たんぱく質は、妊活中にしばしば注目される選択肢です。その理由は以下
- 比較的消化吸収も穏やかで、身体に優しい
- 大豆イソフラボンなど、女性ホルモン様の作用を持つ成分を含む可能性
- 脂質が抑えめな点で取り入れやすい
ただし、「ソイだけでいい」と偏るのはおすすめできません。動物性/植物性を組み合わせて、アミノ酸バランスを整えるのが理想です。
ポイント③|“習慣化”する:毎日の取り入れ方&実践テク
さて、最後のポイントは「量・質を知ったうえで、毎日こなせる実践法を作る」こと。知識があっても“やらなければ意味がない”、というのは私自身の経験からも強く感じたところです。
分散摂取を心がけよう
- 一度にたんぱく質をたくさん摂っても、吸収キャパシティがあります
- 朝・昼・夜、そしておやつ時や軽食時にも少量ずつ取り入れる
- 特に起床後すぐ、就寝前など「切れやすい時間帯」に補うと効果的
主菜+副菜で“補助ソース”も使い切る
- 主菜(肉・魚・豆製品など)でメインたんぱく質
- 副菜にも豆類・海藻・ナッツ類を混ぜ込んで “+αのたんぱく質源” に
- 穀物にもたんぱく質は含まれるので、“全体の一部”として数える
調理法を工夫して無駄を減らす

- 高温・長時間加熱はたんぱく質の変性リスクあり → 蒸す・煮る・軽く焼く
- 揚げ物を頻繁に使うのは控えめに
- 魚は余分な脂を落としつつ調理、皮を使う・使わないも選択肢
プロテイン(粉末/ドリンク)も賢く使おう

- 食事だけで量が足りないときの補填手段として非常に有効
- ただし、「質重視」が前提:添加糖・人工甘味料・過剰な脂質に注意
- 妊娠が確定したあとも継続可能かを、主治医・栄養士と相談
- 吸収の速さ・時間差特性(例:ホエイは早く、カゼインはゆっくりなど)を利用する手もあります
1日の献立例(たんぱく質重視バージョン)

以下は、たとえば “体重50kg 目安 60〜70g/日” を想定した簡単な献立構成例です。
食事 | たんぱく質源食材 | 想定たんぱく質量(目安) |
---|---|---|
朝食 | 卵 1個 + ヨーグルト + 豆乳 | 6〜7g + 4g + 3〜4g |
昼食 | 魚(焼き)100g + 豆腐・副菜 | 約 20〜22g + 5g |
おやつ(間食) | ナッツ/プロテインドリンク | 5〜10g |
夕食 | 鶏むね 100g + 大豆副菜 | 約 21〜24g + 5g |
合計 | — | およそ 60〜70g 程度 |
もちろん、これをそのまま真似する必要はありません。あなたの好み、食環境、体調に合わせて調整すればOKです。
まとめ
今日から意識したい “3つのキーワード”

最後に、この記事で押さえておきたいポイントを振り返ります。
① 量を知る(目安量と過不足)
まず自分の体重・活動量から適切な量を見積もってみる
② 質を選ぶ(動物性 と 植物性)
両方を取り入れ、偏らないように意識する
③ 習慣化する(分散・工夫・補填)
朝昼晩+間食で分散、調理法を工夫、足りない時はプロテインで補う
妊活は「長丁場」。だからこそ、無理せず、楽しみながら、自分の体と対話できる方法を見つけたいですね。