プレコンセプションケアの基本|将来の妊娠に備える新習慣

今、注目のヘルスケア「プレコンセプションケア」って知っていますか?

「いつかは子どもが欲しいけれど、まだ先の話かな」「妊娠するかどうかは決めていないけれど、将来の自分の体は大切にしたい」。
そんな思春期以降の女性・男性が、自分のライフプランとからだのことをセットで考えるきっかけになるのが“プレコンセプションケア”です。

妊娠を「今すぐ」望んでいる人だけでなく、「将来の選択肢を広げておきたい」という方にも関係するお話として、プレコンセプションケアの基本と、今日からできる実践ポイントをまとめてご紹介します。


プレコンセプションケアって何?

並んで微笑むカップルのイラスト

「妊娠前からの健康づくり」を意味するケア

プレコンセプションケア(preconception care)の「pre」は「〜より前」、「conception」は「受精・懐妊」という意味。
直訳すると「妊娠前のヘルスケア」、もう少しやわらかく言えば、

「将来の妊娠や体の変化にそなえて、今から自分の健康と向き合うこと」

です。

ポイントはこの3つ。

  • 妊娠が決まってからではなく、「妊娠するかもしれない時期」より前からスタートする
  • 妊娠・出産を望む人だけでなく、若い世代の男女すべてが対象
  • 自分のからだを知り、生活習慣や働き方まで含めて見直すきっかけになる

つまり、プレコンセプションケアは「妊活中の人だけの専門的な話」ではなく、思春期以降の誰にとっても大事な“新しいヘルスケアの考え方”なんですね。

海外発の考え方が、日本でも広がりつつある

プレコンセプションケアは、2006年にアメリカのCDC(疾病管理予防センター)の政策として始まり、その後WHO(世界保健機関)も「妊娠前の女性とカップルに対する保健介入」として定義しました。
日本でも国や専門機関が情報発信を進め、自治体レベルでも取り組みが始まっています。

プレコンセプションケアの3つの目的

日本でのプレコンセプションケアには、

  • 若い世代の健康を増進し、生活の質を高めること
  • 将来の自分たちがより健康でいられるようにすること
  • 健やかな妊娠・出産と、次世代の子どもたちの健康につなげること

という3つの狙いがあります。
「今の自分」「将来の自分」「未来の子どもたち」――この3つをつなぐ橋渡しをしてくれるのが、プレコンセプションケアだとイメージすると分かりやすいかもしれません。


なぜ今、プレコンセプションケアが必要なの?

若い女性の「やせすぎ」と「太りすぎ」

日本では、出生数全体が減る一方で、低出生体重児(出生体重2500g未満)の割合が増加傾向にあります。
背景の一つとして指摘されているのが、若い女性の「やせすぎ」。国の調査では、20代女性の約5人に1人が“低体重(BMI18.5未満)”に分類されるというデータもあります。

やせすぎの状態で妊娠すると、

  • 低出生体重児が生まれるリスクが高まりやすい
  • 将来、生活習慣病になる可能性が高くなる

といった影響が心配されています。

逆に、BMI25以上の「肥満」では、

  • 妊娠糖尿病
  • 妊娠高血圧症候群
  • 分娩異常

などのリスクが高まります。

だからこそ、妊娠を意識する前の段階から、

  • やせすぎでも太りすぎでもない「適正体重」を知る
  • BMIをチェックし、体重コントロールを意識する

ことがとても大切になります。

プレコンセプションケアにおける体重計のアイコン

出産年齢の高齢化と、不妊の悩み

日本では第1子出産の平均年齢が30歳を超え、35歳以上で初産を迎える人も増えています。
学業や仕事、結婚のタイミング…さまざまな事情を考えると、それ自体は悪いことではありません。

ただ、からだのしくみとして、

  • 卵子や精子の質は加齢とともに少しずつ低下する
  • 年齢が上がるほど、妊娠しにくくなる傾向がある

という現実は避けられません。

そこに加えて、

  • 若い頃からの極端なダイエット
  • 月経不順や強い生理痛を「いつものこと」と放置
  • 喫煙や過度の飲酒、ストレス過多の生活

といった積み重ねが、不妊のリスクを高める可能性もあります。

「もっと早く自分のからだのことを知っておけばよかった…」

と後悔しないためにも、10〜20代のうちからプレコンセプションケアを意識しておくことが、将来の選択肢を広げることにつながります。


情報があふれる時代だからこそ

今はネットやSNSに健康情報があふれていますが、

  • 何が正しいか分からない
  • 受診のタイミングが分からず、症状を悪化させてしまう

といった声も少なくありません。

プレコンセプションケアは、信頼できる情報にアクセスし、自分で選択する力(ヘルスリテラシー)を高めるきっかけにもなります。


今日からできる!プレコンセプションケア実践編

ここからは、具体的にどんなことを意識すればよいかを紹介します。
「全部完璧にやらなきゃ」と気負わずに、できそうなことから一つずつでOKです。


1. まずは自分のからだを知る

  1. BMI(体格指数)を計算する
    • BMI=体重(kg) ÷ 身長(m)²
    • 自分が「やせ」「普通」「肥満」のどこに当てはまるかをチェック
  2. 月経の状態を記録する
    • 周期・日数・痛みの強さ・出血量などをアプリや手帳にメモ
  3. プレコンチェックシートを活用する
    • 自治体や医療機関が用意しているチェックシートで生活習慣を振り返る

「なんとなく大丈夫」ではなく、数字や記録で自分の状態を知ることが、プレコンセプションケアの出発点です。

プレコンセプションケアにおける運動のアイコン

2. 食事:1日3食、未来の自分への“投資”

プレコンセプションケアにおけるりんごとブロッコリーのアイコン

若い世代は、たんぱく質、カルシウム、食物繊維などが不足しがちと言われます。
栄養不足は、筋肉量や骨量の低下だけでなく、月経トラブルや不妊リスクにもつながります。

意識したいポイントは…

  • 主食(ごはん・パン・麺)
  • 主菜(肉・魚・卵・豆類)
  • 副菜(野菜料理)

この3つをできるだけ毎食そろえること
さらに、

  • 朝食を抜かない
  • 極端な糖質制限や単品ダイエットはしない

といった基本も大切です。

妊活を意識し始めたら、葉酸などのビタミン・ミネラルも意識してとっていきましょう。

「今のきれいのための食事」が、「未来の妊娠力」や「ずっと元気でいる力」にもつながっていきます。

プレコンセプションケアにおける葉酸のサプリのアイコン

3. 運動:適正体重と“めぐり”を守る

運動は、生活習慣病予防だけでなく、ストレス解消や冷え改善にも役立ちます。
やせすぎ・太りすぎを防ぐためにも、「ちょっとだけ動く」を習慣に。

たとえば、

  • 通勤や買い物で意識して歩く
  • エレベーターではなく階段を使う
  • デスクワークの合間にストレッチをする

など、“ついで”にできる動きからでOK。
「今より10分多く動く」だけでも、立派なプレコンセプションケアです。

プレコンセプションケアにおけるダンベルのアイコン

4. 生活リズムとストレスケア

寝不足や強いストレスは、ホルモンバランスや自律神経を乱し、月経トラブルや体調不良の原因になります。

  • 毎日なるべく同じ時間に寝て起きる
  • 寝る前1時間はスマホやPCを控える
  • 入浴・音楽・ヨガ・趣味など、自分なりのストレス解消法をもつ

「ちゃんと休む」「気分転換する」ことも、立派なプレコンセプションケアです。

プレコンセプションケアにおける健康チェックアイコン

5. 喫煙・飲酒はできるだけ控えめに

  • 喫煙は、不妊症や流産、早産、低出生体重児のリスクを高める
  • 家族やパートナーの喫煙による受動喫煙も大きな影響
  • 妊娠を考え始めたら、男女ともに飲酒を控えるのが理想

できることからでOKなので、

  • 自分やパートナーの喫煙・飲酒習慣を見直す
  • 禁煙外来や自治体の禁煙支援、アルコール相談窓口を活用する

といったサポートも上手に使っていきましょう。
「二人で一緒にやめる」「家族で協力して減らす」と決めると、続けやすくなります。


6. 健康診断・検診・予防接種を味方に

プレコンセプションケアでは、「病気になってから」ではなく「なる前に備える」姿勢が大切です。

  • 年に1回の健康診断で、血圧・血糖・コレステロールなどをチェック
  • 子宮がん検診・乳がん検診、骨粗しょう症検診なども定期的に受ける
  • 風しんやHPV(子宮頸がん予防)など、必要なワクチンの接種状況を確認する

自治体や職場の制度を調べてみると、意外と多くの検診・助成制度があります。
「よく分からないからそのまま」ではなく、「一度調べてみる」が一歩目です。

プレコンセプションケアにおける予防のアイコン

パートナーや家族と一緒に取り組もう

プレコンセプションケアは、女性だけのものではありません。
男性の肥満や喫煙・飲酒、ストレスも、将来の妊娠や赤ちゃんの健康に影響すると言われています。

  • お互いの健康診断の結果を見せ合う
  • 一緒に夕食のメニューを考える
  • 一緒にウォーキングを始める

こんな小さな一歩からで十分です。
「妊娠したら考える」ではなく、「いつか妊娠するかもしれない自分たち」として話題にしてみることで、お互いの価値観も見えてきます。


プレコンケアのチェックシート

引用:国立研究開発法人 国立成育医療センターHP プレコンセプションケアセンターhttps://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/pcc_check-list.html


まとめ:プレコンセプションケアは「未来の自分へのプレゼント」

プレコンセプションケアとは、

今の自分のからだを知り、生活習慣を少しずつ整え、正しい情報に触れながら、パートナーや家族と将来について話していくプロセスそのもの。

と言えます。

「いつでも選べる自分」でいるために、妊娠前からの健康づくりに目を向けてみませんか?

プレコンセプションケアは、あなた自身のためでもあり、未来の家族のためでもあり、そして社会全体の未来につながるヘルスケアです。
今日できる小さなことから、ぜひ始めてみてくださいね。

参考文献

国立成育医療研究センター プレコンセプションケア概要ページ https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/?utm_source=chatgpt.com

日本産婦人科医会 等のプレコンセプションケアに関するPDF資料 https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/12/e7ac6ca3eae3b81561d1b7bf4ee4ecd2.pdf?utm_source=chatgpt.com

徳島県/地域行政によるプレコンセプションケア紹介ページ https://www.pref.tokushima.lg.jp/sp/ippannokata/kenko/iryo/5052383/?utm_source=chatgpt.com

国際的定義を紹介する医療/公衆衛生のレビュー記事(CDC/WHOの歴史と意義)https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/knowledge/precon-care.php?utm_source=chatgpt.com