はじめに
「妊活中って、お酒は絶対ダメ?」——仕事終わりの一杯や友人との会食など、完全にゼロにするのはハードルが高いですよね。とはいえ、妊娠率や赤ちゃんへの影響が気になるのも事実。本記事では、妊活×飲酒をわかりやすく整理し、いつから・どのくらい・どう付き合うかを具体的にガイドします。
結論
- 妊娠が分かったら即禁酒。
妊娠中に“安全な飲酒量”は確立されていません。妊活中も、排卵後~生理開始までの黄体期は特に控えるのが無難。 - 妊活中の飲酒は“少ないほど安心”。
多量(例:週6杯以上)は妊娠率低下と関連の報告あり。迷うならノンアルで代替を。 - 男性も“控えめ+休肝日”が吉。
過量は精液所見に影響する可能性。夫婦で足並みをそろえると継続しやすい。

なぜ妊活中はお酒を控えるのが安全?
1 女性特有のリスクがある
女性は体格差や代謝の個人差により血中アルコール濃度が上がりやすい傾向があります。飲酒は乳がんリスクや肝機能障害の増加とも関連し、妊活の土台となる健康に影響します。
2 妊娠率(fecundability)への影響
研究によって幅はあるものの、多量飲酒は妊娠率の低下と関連。さらに黄体期(排卵後〜生理前)に中等量でも妊娠率が下がるとの報告もあり、時期がポイントです。
3 “気づかぬ妊娠”のリスク
妊娠超初期は気づきにくく、アルコールは胎盤を通過します。判明したら即禁酒が鉄則。だからこそ、妊活中から“控える”習慣が安心です。
影響を受けやすいタイミングは?
- 生理中〜排卵前:妊娠可能性は比較的低め。飲むなら適量の下限にとどめ、体調第一で。
- 排卵後〜生理開始まで(黄体期):着床のタイミング。原則控える(できればゼロ)。
- 妊娠判明後:完全禁酒。
どれくらいが“適量”の目安?
日本でよく使われる基準は純アルコール約20g/日(あくまで上限目安)。妊活ではさらに控えめがおすすめ。
- ビール5%:中瓶500ml ≒ 20g
- 日本酒15%:1合180ml ≒ 22g
- ワイン12%:グラス120ml ≒ 12g
- ウイスキー43%:ダブル60ml ≒ 20g
- 焼酎25%:約110ml ≒ 20g
実践ポイント
- 週2日は休肝日を固定(カレンダーに印)
- ストロング系はアルコール量が嵩みやすいのでラベル確認
- カクテルは甘くて進む=“気づけば過量”に注意
男性は飲んでも大丈夫?
軽〜中等量で妊娠のしやすさに大きな差がないとする報告もありますが、過量飲酒は精液量・運動率・形態にマイナスの可能性。**夫婦で“控えめ&休肝日”**を共有すると、続けやすくて効果的です。
いつからやめる?ケース別ガイド
- 自然妊活/タイミング法:排卵後はゼロ。排卵前は適量の下限 or ノンアル。
- AIH・体外受精(IVF):採卵準備〜移植後は原則禁酒。薬の代謝・睡眠の質・卵子/胚の環境面でも禁酒がベター。
- 陽性反応・妊娠確定:その瞬間から禁酒。
「やめられない・飲みたい」ときの対処法

- ノンアルの選択肢を常備:0.00%のビアテイスト、炭酸水+ライム、ハーブ&スパイスのモクテル
- “最初の一杯は小”→すぐノンアルに切り替える
- 就寝3〜4時間前以降は飲まない(睡眠の質=ホルモンの質)
- “一皿ルール”:枝豆・豆腐・チーズ・ナッツ・野菜などタンパク質+食物繊維で血糖の乱高下を抑える
- 水を先に1杯でペースダウン
- 断りフレーズを準備:「今は体づくり期間でノンアルにしてます」「今日は運転なので」
- アプリで休肝スタンプ:見える化でモチベ維持
お酒以外で注意したいもの
カフェイン
妊活〜妊娠中は摂りすぎに注意。国際的には妊婦200mg/日未満が目安。コーヒーなら1〜2杯程度に抑え、他の摂取源(紅茶、緑茶、エナジードリンク、チョコ)も合算で管理。
糖分の多い飲料
清涼飲料や加糖コーヒー、“野菜ジュース風”飲料は糖質が多く体重増・代謝悪化の原因に。水・炭酸水・無糖茶をベースに。

妊活を応援する飲み物&栄養
からだを温める・整える
- ノンカフェインのハーブティー(ルイボス、ブレンドティーなど)
- ショウガ×レモンのホットドリンクでリラックス&睡眠の質UP
葉酸は“妊活のうちから”
- 妊娠成立の1か月前から、食事に加えて1日400µgの葉酸を意識。妊娠6週頃に神経管が閉鎖するため、“気づく前”の準備が重要。
- 野菜・果物に加え、**サプリの品質表示(400µg・モノグルタミン酸型など)**を確認。迷ったら医師や管理栄養士に相談。
そのほか意識したい栄養
- ビタミンD:不足しやすい栄養素。日光浴+サプリで補う選択肢も。
- 亜鉛:卵子・精子の形成や質と関わる重要ミネラル。
- 抗酸化ビタミン(A・C・E)、ポリフェノール、コエンザイムQ10:酸化ストレス対策に。
よくある質問(FAQ)

Q. 妊活中、完全禁酒がベスト?

A. もっとも安全なのは“できるだけ飲まない”。とくに排卵後〜妊娠判明まではゼロを基本に。ストレスが強い場合は排卵前に適量未満 or ノンアルで代替を。

Q. 週1回、乾杯の1杯はOK?

A. 排卵前かつ体調が良い日に小さめ1杯までが目安。個人差(お酒の強さ・睡眠・体重)を優先してください。

Q. ノンアルなら安心?

A. 0.00%表示を選びましょう。微量アルコールを含む製品もあるため、成分表示の確認が安心。

Q. パートナーの飲酒は?

A. 軽〜中等量なら大きな差が出にくい報告もありますが、過量は精子所見にマイナスの可能性。二人で休肝日を作ると継続しやすいです。
明日からできる“3ステップ計画”
- 周期をアプリで可視化:排卵後=ゼロ、排卵前は控えめ or ノンアルにスイッチ。
- 家の在庫を置換:冷蔵庫にノンアル・炭酸水・無糖ティーを常備。
- 飲み会ルール:最初は小サイズ→すぐノンアル/就寝3–4時間前は飲まない/週2休肝。

まとめ
- 妊活中は“少ないほど安心”。 排卵後はゼロ、排卵前は控えめかノンアルへ。
- 妊娠がわかったら即禁酒。 安全な量は確立されていません。
- 二人で習慣化:休肝日、在庫の置換、ノンアル開拓、睡眠の質アップ。
- 迷ったら、あなたの未来の体と赤ちゃん最優先で選びましょう。
本文は一般的な情報提供を目的としています。体質・既往歴・服薬状況によって最適解は変わります。気になる症状や治療中の方は、かかりつけ医へご相談ください。
参考文献
厚生労働省 「アルコール健康障害対策推進基本計画」
https://www.mhlw.go.jp/content/12205250/000666574.pdf 厚生労働省厚生労働省 「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf 厚生労働省+1厚生労働省 「健康日本21(第二次)におけるアルコール対策」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-06-002.html 健康日本21アクション支援システム+1日本産科婦人科学会 「産婦人科診療ガイドライン ―産科編」
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2023.pdf 日本外科学会+1厚生労働省「女性の飲酒と妊産婦の飲酒に関する解説書(女性/妊産婦向け)」
https://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/guide-alcohol-female.pdf e-kennet.mhlw.go.jp