はじめに:その“真っ赤な果実”、妊活の味方になるかも
「食事で妊娠に向けた体づくりを後押ししたい」「サプリやジュースの“ざくろ推し”は本当に効果があるの?」——そんな疑問に、エビデンスの示唆と日常で続けやすい工夫の両面からお答えします。
結論から言えば、ざくろ(ザクロ)は“万能の特効薬”ではないものの、抗酸化・むくみ対策・血流サポートなど妊活と相性の良い要素を複数もつ食材。取り入れ方と注意点を押さえれば、毎日の小さな積み重ねとして頼れる存在になります。
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目次
- ざくろって妊活に効果的?考えられる効能を整理
- 高温期・低温期にどう活かす?——基礎体温とざくろの付き合い方
- より効率よく“ざくろのチカラ”を得るコツ
- 相性の良い食べ合わせ(簡単レシピ付き)
- 取り入れる際の注意点(ここは必読)
- 「ざくろとエストロゲン」よくある誤解をやさしく解説
- ミニQ&A:よくある疑問
- まとめ——今日からできる“無理のない一歩”
- 参考にした文献・サイト

抗酸化作用で“細胞のサビ”ケアをサポート
ざくろにはタンニン類・アントシアニン・プニカラギンといったポリフェノールが豊富。これらは活性酸素によるダメージ(酸化ストレス)を抑えるはたらきがあり、卵巣や精巣など酸化の影響を受けやすい組織のコンディション維持に寄与すると考えられます。日々の酸化ストレスを“ため込まない”環境づくりは、妊娠しやすいからだ作りの土台です。
むくみ対策(カリウム)で“巡り”を後押し
果物としてのざくろはカリウムを含み、余分なナトリウムの排出を助けます。結果としてむくみ由来のだるさ・冷え感の軽減に役立つ可能性があり、日々のコンディション安定にプラス。とくに「夕方の脚の重さ」「指輪がきつい」などが気になる人は、食事全体の塩分ケアと組み合わせると相性が良いでしょう。
血管・血流サポートで“届くカラダ”に
ざくろ(主にジュース)を継続摂取すると血圧や血管内皮機能の改善を示唆する研究が複数あります。末端までの巡りが良くなることは、子宮・卵巣・陰茎など“届けたい場所”に栄養と酸素を運ぶうえでプラスに働く可能性があります。
男性側にも期待できる示唆
短期研究ながらざくろジュース摂取でテストステロン指標が上昇したという報告や、精液性状の改善を示唆するデータがあります。あくまで“補助的アプローチ”ではありますが、男女ともに取り入れやすい共通の食サポートです。
要点:ざくろは「妊娠率を直接上げる魔法の果物」ではなく、抗酸化・巡り・体調管理という“土台づくり”に寄与する食材。生活習慣の改善とセットで活きてきます。
- 高温期(排卵後〜月経前)
体温が高く、むくみや倦怠感を抱えやすい時期。カリウムとポリフェノールを含むざくろは、むくみケアや巡りの後押しに。温かい飲み物やスープと合わせて“温活”するのがコツ。 - 低温期(生理直後〜排卵まで)
卵胞が育つ準備期間。酸化ストレス対策・血流ケア・栄養バランスを丁寧に整えたいタイミング。ざくろはビタミン類・ポリフェノールの補給源として“毎日の一品”にしやすい食材です。
マイルール:基礎体温の記録にその日の体感(冷え・むくみ・疲れ・睡眠)を添えて観察。良い変化があれば続ける、合わなければ無理をしないが成功の近道。

① 種も“一緒に”——食べ方の工夫
赤い粒(仮種皮)の中にある小さな種も食べられます。食物繊維の補給になり満足感もアップ。ヨーグルト・サラダ・オートミール・チーズプレートにトッピングするだけで、彩りと栄養が一気に増します。
② 生果・ジュース・サプリの使い分け
- 生果:旬の楽しみとして。入手性は低めなので“見つけたら買う”スタンスでOK。
- ジュース:毎日続けやすく、研究でも用いられる形態。目安はコップ半分〜1杯(約120〜230mL)。砂糖無添加・果汁100%を選び、食後に少量ゆっくり飲むのがベター。
- サプリ:ポリフェノールの“規格化”製品など、効率重視の選択肢。服薬中・妊娠中の方は必ず医療者に相談してから。
③ 続ける仕掛けづくり(1日の例)
- 朝:ヨーグルト+ざくろ+キウイ(抗酸化×葉酸)
- 昼:ミックスグリーンサラダにトッピング(食感と彩りUP)
- 間食:無糖ヨーグルトやカッテージチーズに少量のざくろ
- 夜:ノンカフェインティーにざくろ果汁を少し(冷やしすぎない量で)

① ざくろ × キウイ/いちご(抗酸化×葉酸)
狙い:ざくろのポリフェノール+ビタミンC・葉酸で酸化ストレス対策の相乗効果。
簡単ボウル:プレーンヨーグルトにざくろ・角切りキウイ・いちご、仕上げにレモン汁をひとたらし。忙しい朝も3分で完成。
② ざくろ × シナモン × 酢(温活×巡り)
狙い:温かいハーブティーにざくろ果汁を小さじ1〜2、仕上げにシナモンをひと振り+リンゴ酢ほんの少し。ポカポカ感とスッキリ感を両立。
TIP:夜は糖分を摂り過ぎない量で。空腹時は避け、食後に少量がおすすめ。
- “果物=糖質”は忘れずに
ジュースは120〜230mLを上限の目安に。糖尿病など代謝疾患のある方、体重管理中の方は主治医に相談。 - ジュースは“砂糖無添加・果汁100%”
加糖タイプは血糖スパイクを招きやすく、かえって逆効果。ラベルの原材料表示を確認しましょう。 - 皮・ワタ・根皮は食べない
可食部は赤い粒とその中の小さな種のみ。果皮や白いワタ、根皮・樹皮にはアルカロイド(例:ペレチエリン)が含まれ、嘔吐・めまい・下痢など中毒の恐れがあるため口にしないこと。 - 薬との相互作用・体質に注意
降圧薬等を服用中の方、持病がある方、妊娠確定後や授乳中の方は医療者に確認。アレルギーや胃腸症状が出る場合は中止を。“治療の代替”にしない姿勢が大切です。
- よくある主張:「ざくろ(特に実や果汁)には女性ホルモン(エストロゲン)が“そのまま”入っている」
- 実際:国内の調査では、ざくろ果実や市販品からエストロゲンは検出されなかったと報告されています。したがって、“エストロゲン補給”を主目的にざくろを摂るのは非現実的。
- 補足:ざくろ由来成分にエストロゲン様作用を示唆する基礎研究はありますが、ヒトで妊娠率を直接高めると示す質の高いエビデンスは不足。ざくろの価値は、抗酸化・巡り・栄養にあります。

Q1. 毎日どれくらいが目安?
A. 生果は小鉢1杯、ジュースは120〜230mLを上限に。週3〜5回の“ゆる継続”でも十分です。
Q2. 男性にもメリットはありますか?
A. 抗酸化・血流面のサポートに加え、短期でテストステロン指標の上昇を示した報告があります。個人差は大きいので、生活改善(睡眠・運動・体重管理)と併用を。
Q3. いつ飲むのが良い?
A. 食後がおすすめ。空腹で甘い飲料を摂ると血糖が急上昇しやすいため、少量をゆっくりが合言葉。
Q4. 皮ごとスムージーはダメ?
A. NGです。皮・白いワタ・根皮はアルカロイドを含み中毒の恐れがあるため、赤い粒と種のみを使いましょう。
Q5. 不妊治療中でも大丈夫?
A. 基本は食材としての範囲なら問題ないことが多いですが、薬との相互作用や個別の体質があります。主治医・管理栄養士に相談しながら調整を。

- ざくろは抗酸化・血流・むくみ対策など、妊活の“土台づくり”に寄与。
- 高温期は温活・巡り、低温期は卵胞の環境づくりをイメージして、食事に少量ずつ。
- 生果・ジュース・サプリを状況で使い分け、まずは少量×継続。
- 皮・ワタは食べない、加糖ジュースは避ける——この2点は必ず守る。
- 誇大広告に振り回されず、バランスの良い食事・睡眠・適度な運動とセットで。
目の前の一皿に、ざくろをひとさじ。“続けられる”がいちばんの効果です。
- Sahebkar A. “Effects of pomegranate juice on blood pressure: A systematic review and meta-analysis.”
- Bahari H. “The effects of pomegranate consumption on blood pressure: Updated meta-analysis of randomized controlled trials.”
- Shabir I. “Bioactive potential of punicalagin: A comprehensive review.”
- Al-Dujaili E.A.S. “Pomegranate juice intake enhances salivary testosterone and mood.” Queen Margaret University 報告
- 国民生活センター「ざくろとエストロゲンに関する表示への注意喚起(要旨)」
- 富山市薬剤師会・和漢薬関連資料「ペレチエリン(ザクロ根皮等)の毒性について」
- 管理栄養士監修の一般向け記事(ざくろ・男性不妊・血糖値スパイク・血流改善に関する解説 など)